第一人者が教える 認知症のすべて

年を取ると睡眠の質が低下…認知症ではより強く現れがちになる

太陽の光を浴びたり、日中の活動量を増やしたり…(C)日刊ゲンダイ

 認知症ではさらに、それ以外の睡眠問題も起こりやすい。

 米国メイヨークリニックがアルツハイマー型やレビー小体型などの認知症患者を対象に、認知症に併存する睡眠障害に対して調査を行いました。

 それによると、なんらかの睡眠問題を有する人の割合は、アルツハイマー型で64%、レビー小体型で88.6%、その他の認知症で73.3%。

 睡眠問題で頻度の高いものとしては、概日リズム睡眠障害(不規則睡眠・覚醒リズム障害)のほか、レム期睡眠行動異常症、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)、睡眠時周期性四肢運動障害がありました。

 認知症の睡眠問題に対して、どのように対策を講じるか。原因とその程度によっては薬を使うことはあるものの(たとえば、むずむず脚症候群ではドーパミンの働きを補う薬やてんかんの薬などを用いる場合があります)、基本は非薬物療法です。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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