しかし、たまに面倒な病気が潜んでいることがあります。骨髄の「造血幹細胞(赤血球をつくり出す細胞)」に異常が生じて多血になることが、まれにあるのです。こちらは「真性多血症(真性赤血球増加症)」と呼ばれ、血液腫瘍の一種に分類されています。ただ重症化しない限り、自覚症状はほとんどなく、健診で異常を指摘されて初めて分かった、という人が大半です。
赤血球が増え過ぎると、血液がドロドロになって、末梢血管を通りにくくなります。そのため逆に酸素不足で代謝が低下し、手足が冷えたりしびれたりすることがあります。また血栓ができやすくなるといわれています。とくに心筋梗塞や脳梗塞が心配です。
代表的な治療は「瀉血」(血を抜き取ること)です。抜いた血は、そのまま廃棄処分です。異常な造血幹細胞が混ざっているかもしれないので、輸血などには使えません。ほかに赤血球を減らす薬を使う薬物療法などがあります。
健診で多血症と言われて心配だったら、血液内科を受診してみるといいでしょう。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。