がんと向き合い生きていく

がんで亡くなった先輩の思い出…内視鏡検査が抜群に上手だった

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 S先輩について、ある医師は「彼と比較すると、自分がいつも損をして生活しているように思う」と言われます。S先輩は何をするにも手際がいいからです。

 科内の調整がとても上手な方で、部長をはじめとする上司は、さまざまなことで彼に意見を求めたように記憶しています。その点でもS先輩は貴重な存在だったと思います。また、何事も先、その先を読める方でした。S先輩のような生き方がとても羨ましく思いました。

 夜になると、S先輩は直接家に帰ることはなく、1、2軒、お酒を飲まれてから帰宅されました。飲み方もとても上手だったと思います。日本酒はほとんど飲まれず、ウイスキーの水割りばかりでした。一緒に飲み終わると、私は医局に戻って寝泊まりしていました。

■マージャンやゴルフも得意だったが…

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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