パートナーが発達障害の人「カサンドラ症候群」要注意 不眠や食欲低下を招き、うつリスク増

違和感があっても我慢しているケースが多い

「近年、ASDの人は定型発達者と比較して、他者の考えを推測する役割を担うミラーニューロン(神経細胞)の働きが弱いと考えられています。妻がASDの夫に悩みを伝えようと試みても共感性の弱さから理解を得られず、何をしても無意味だと感じる『学習性無力感』が募り絶望感や孤独感といった抑うつ状態を引き起こすのです」

 心理的ストレスが重なると、交感神経が過度に働いて食欲低下や不眠につながり、うつ病を発症させるリスクが高まる。

 カサンドラ症候群を発症する人は、パートナーがASDだと分からずに日常でのやりとりに違和感があっても我慢して生活しているケースが多いという。

「たとえば、ASDの人はお金に執着する傾向があり、生活費の支出を1円単位で把握したがります。隣町のスーパーの方が1円安いからそこで買うよう妻に指示しますが、移動時間を考えるとかえって効率が悪い。ですが、ASDの人はこだわりの強さのほか、自分と異なった考えを言われるとパニックに陥るので感情的な会話が難しい。そうしたストレスを抱えたまま生活を続けているとカサンドラ症候群を発症する危険があります」

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