「過去の臨床試験で、アルツハイマー病は神経細胞の死滅が進んでからアミロイドを除く薬を投与するのでは遅く、一刻も早い方がいいことがわかっています。とはいえ、何らかの症状がないと受診できない。レカネマブでは認知症に至らないMCI(軽度認知障害)と軽症の認知症を対象に臨床試験を行ったことで、今回の結果が出たと考えられます」
臨床試験の対象者でもアルツハイマー病以外の認知症が交じっていることが少なくない。それを除外できるPET検査でアルツハイマー病に限定できたことも大きい。
次に、レカネマブの投与で懸念されていた副作用への対応が定まり、安全に臨床試験を行えた。
「投与量を増やせれば臨床効果も得られるが、副作用のリスクも大きくなる。副作用のリスクを最小限に、しかし可能な範囲の高用量を用いることが可能になりました」
さらにアミロイドβを除去するにしても、より毒性が高いとされるプロトフィブリルという状態のアミロイドβを除去できる抗体を開発できた。
明日もアルツハイマー病治療薬の最新情報をお届けする。