■マスク着用の勧めを守らない人をどう考慮するか
バングラディシュ人と日本人の差であるが、この研究で、マスクを勧められる地域に居住したもののうち42.3%がマスクを着用し、勧められなかった地域の住民でも13.3%がマスクを着用していたと報告されている。マスクを勧められても半分が着用しないというのがこの研究の対象となったバングラディッシュ人の現実である。
仮にこれが日本で行われたとしたら90%以上がマスクを着用するかもしれない。そうだとすると、日本人ではマスクの効果がもっとはっきりと示されるかもしれず、この研究結果を日本人に当てはめて考えた場合、マスク着用効果を過小評価することになるかもしれないのである。
たとえば、半分以下のマスク着用率でも相対危険減少で12%程度の効果があるとすれば、90%着用すれば2~30%くらいの予防効果の可能性もある。日本人の研究をまたなくても、バングラディッシュ人と日本人の違いの一部は、このようにして検討できる面がある。
医療だけでは幸せになれない