ここで1つの疑問が生じる。この研究ではマスクの効果を測るのに、「マスク装着を勧められながらマスクを装着しない人」もマスクを着けたグループに入れて解析しているのだが、マスクを実際に着けた人だけで検討したほうがいいのではないかという指摘だ。もっともである。マスクを装着した効果というのであれば、実際に着けていない人を含めるとバイアスになる。
その反面、マスクをお勧めする効果という点で見ると、マスクを着けていない人も含めたほうがいいだろう。さらには、指示に従わずマスクを着けていない人と、指示を守って着ける人の背景は異なる可能性が高く、含めたほうがランダム化によるバイアスの除去が守られる可能性が高いというメリットもある。マスクを着けない人を含めることでマスクの効果は薄められる可能性はあるが、薄められた効果でも有効と言えれば、その結果の妥当性は増すということもある。
医療だけでは幸せになれない