サブグループ分析について紹介すると、これまでも問題にしてきたように、「日本人のデータが見たい」という人が多くなる。しかし、その疑問はいささか的が外れている。そもそも重要なのは日本人に限った解析というより、目の前の人にあった解析であるか否かである。その1つの手法として今回紹介したサブグループ分析という方法がある。
ただ、そこには統計学的に多くの問題があり、その解釈には慎重を要する。サブグループ分析から明確な結論を導き出すのは危険で、そこで仮説が証明されたと考えるのではなく、新たな仮説が提示されたと考えるのが妥当である。
つまり、この研究から「サージカルマスクと布マスクに差はない」と結論付けるのも、「高齢者でマスクの効果が高い」というのも、新たな仮説として考慮したほうが統計学的には妥当であるということである。しかし、それはあくまで統計学的なことであって、個別の人にどうするかは、この結果を踏まえて個別に相談するほかない。
医療だけでは幸せになれない