Dr.中川 がんサバイバーの知恵

新田恵利さんが夫の悪性リンパ腫を告白 SNSでのがん告知も励みになる

新田恵利さん(C)日刊ゲンダイ

 たとえば、胃がんや大腸がんの早期で内視鏡で切除でき、入院が数日で済むようなケースは、家族のみに知らせて、会社や周りには内緒でもよいかもしれません。しかし、そうでなければ家族にも周りにも伝えるのが楽ですし、実際、励みになります。

 内閣府の調査で、がんの治療と仕事の両立が「難しい」との回答は57%。一番の理由は「体力的に困難」(24%)ですが、以下は「代わりがいない、頼みにくい」(21%)、「治療で休むことを許してくれるか分からない」(19%)など職場の調整の難しさが並びます。

 治療と仕事の両立には、治療選択も重要ですが、何よりも職場にがんであることを伝えないことにはサポートを受けられません。その点でSNSでの告知は、仕事の調整に必要なこととリンクすると思いますから、悪いことではないでしょう。私も膀胱がんが見つかったとき早期でしたが、進行がんの可能性にも備えて家族や職場、友人に伝えました。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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