糖尿病治療を激変させた新たな薬「SGLT2阻害薬」の正体とは? 医師が解説

石原藤樹院長(提供写真)
良い薬は高い、というジレンマ

 クリニックで毎日糖尿病の診療を続けていて、一番悩むのは医療費の問題です。

 糖尿病の治療にはお金がかかるのです。それも最新の良い治療をしようと思うほど、患者さんの医療費の負担は増えてしまい、それで患者さんは治療の継続をしづらくなる、というジレンマがあります。

 糖尿病の治療薬として、今最も患者さんの予後の改善に結び付く可能性が高いのは、2型糖尿病の場合、SGLT2阻害薬とGLP1であることは間違いがありません。

 その2種類の薬の登場以前に使用されていたのは、主にメトホルミンとSU剤、そしてDPP-4阻害剤でした。

 メトホルミンも患者さんの長期予後を改善する可能性のある、ポテンシャルの高い薬ですが、欠点は血糖を下げる作用の弱いことです。

 メトホルミンだけで良好なコントロールを得られることはそれほど多くはなくそのために他の薬を併用することになります。併用する薬の中で、副作用はあまりないけれど効果は弱いのがDPP-4阻害剤、効果は強いけれど低血糖の危険性が高いのがSU剤です。

8 / 13 ページ

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

関連記事