■投薬とリハビリを併用する
そこで、「バクロフェン持続髄注療法(ITB療法)」とリハビリを併用する治療を計画しました。バクロフェンは、筋肉をほぐし痛みを和らげる筋弛緩薬で、脳卒中の後遺症や筋肉がこわばる病気の治療に使われます。このバクロフェンを脊髄の髄腔内に直接投与するのです。まず、バクロフェンを脊髄の髄腔内に注射して、痙縮した筋肉が弛緩するかを判定します。効果が確認できたら、次は脊髄の治療が必要な高さまで(この患者さんでは第3頚椎の高さまで)長いカテーテルを通して固定設置します。そして、薬剤が24時間持続的にじわじわ流れる装置を使ってバクロフェンを注入していきます。
その患者さんは投与直後から上肢と股関節、膝関節と足関節の屈曲と痙縮が改善され、徐々に自分で手や足を伸ばせたり、曲げたりできるようになりました。これならリハビリを実施できます。介助しながら、座る、立つ、歩くといった訓練を行い、同時に声がけをしてコミュニケーションを図っていきます。
正解のリハビリ、最善の介護