正解のリハビリ、最善の介護

「急性期病院」のリハビリはどんなことが行われるのか?

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 発症から手術までに時間的な余裕がない脳や心臓の疾患では難しいのですが、がんは比較的“待てる”ケースが多いため、術前リハビリが重要になります。とりわけ「手術成績をアップさせるためには術前リハビリが必要だ」と気づいている医師は、しっかりしたリハビリの体制を病院内で構築しています。現在、がんセンターなどの拠点病院では、がん治療の成績は全国的に似通ってきています。そうした治療成績をさらに伸ばすためには、リハビリが欠かせないと理解が進んできたのです。

■主治医と現場スタッフの連携が重要

 もちろん、急性期病院で行われる術後のリハビリも大切です。がんや脳、心臓などの疾患で治療を受けた後、回復期病院に移るまでの期間に実施されるリハビリです。

 かつては、手術後は安静にしたほうがいいという考え方が主流でしたが、いまは脳でも心臓でも、手術や投薬治療によって病気のコントロールがついて病状が安定した段階で、早期にリハビリを開始するケースが増えています。世界的にも、とくに脳や心臓の分野では、手術後24時間以内、病気の状態が悪かった場合でも48時間以内にリハビリを開始すると回復が早くなることが知られていて、日本でも取り組む病院が増えているのです。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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