ワンランク上の健診「脳ドック」(1)CTでなくMRIを使う理由

CTではなくMRIを使う理由は…(C)日刊ゲンダイ

 脳の輪切りと言えば、CTのほうが有名かもしれません。しかし、脳ドックで使われているのは、いま言ったようにMRIのほうです。CTは脳内の細かい出血などを検出するのに向いています。それに対してMRIは、脳のしわや全体の構造、脳梗塞や脳腫瘍などの病変を見つけるのに適しています。

 また、CTはX線の被ばくがありますが、MRIは核磁気共鳴と呼ばれる原理が使われており、X線や放射線を一切使わないため、被ばくの心配がありません。さらにMRIは、MRAと呼ばれる、脳血管のみを写し出した3次元画像を作ることもできます。CTで同じことをやろうとすると、造影剤を血管に注入する必要がありますが、MRAでは造影剤がいりません。

 それらの理由から、脳ドックではMRIが標準的に使われているのです。

 典型的な脳ドックは、頭部MRIと頭部MRA、それに血圧、心電図と、一般的な血液検査がセットになっています。また普通は頚動脈エコー(超音波検査)も入っています。それらの検査で、どんなことが分かるのでしょうか? 次回詳しくお話しします。(つづく)

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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