正解のリハビリ、最善の介護

評価や実績の高い回復期病院を判断するための指標はある?

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 適切なリハビリでは「起こす」ことが重要です。リハビリと食事を含めて8時から19時までの日中はしっかり起こしている施設と、リハビリと食事以外の5時間、就寝時間はすべてベッドに寝かせている施設では、回復の度合いや成績が大きく変わってくるのです。

⑤「力量があるリハビリ主治医が在籍しているか」も大切なポイントになります。主治医は、個々の患者さんの病状を的確に把握して、「その患者さんはどこまで回復できるのか」というゴールをしっかり予測できなければなりません。その力量がなければ、当初の予測よりも回復の度合いが上がってこない場合に修正して対処することができず、「この程度の回復でも仕方がないから、諦めてください」で終わってしまいます。主治医の力量は、患者さんやご家族の将来を左右するくらい重要なのです。

 来院される患者さんの中には、脳の損傷の度合いや認知機能の低下、全身状態の不良などにより、リハビリを行っても残念ながらそれほど回復が望めないケースもあります。その場合は、目が開くようになる、笑顔が出る、うなずくようになるだけかもしれませんが、主治医は回復が難しい状態を本人やご家族に伝えなければなりません。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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