正解のリハビリ、最善の介護

慢性期で本格的なリハビリ訓練を入所で行える施設はあるのか

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 それらを考慮した場合、本格的なリハビリを希望するなら老健しか選択肢がないということになります。しかし、現実的には、一般的な老健は3カ月間の生活支援を受ける施設となっています。それは、攻めのリハビリを行える体制がつくれないためです。

 そもそも老健は「在宅復帰に向けたリハビリを受けることを目的とした施設」ですから、保険診療の制度上で毎日1単位(20分)のリハビリが行えます。また、老健に入る高齢者のほとんどは認知機能が低下しているので、「認知症リハビリ」というプログラムを週3回実施できます。1回20分が週3回なので、すべてを合計すると1日平均30分のリハビリができるということになります。老健の入居期間は原則3カ月(90日)と決まっているのですが、その期間にあたる90日間、1日平均30分のリハビリを毎日できる仕組みが整っている慢性期の施設は老健しかないのです。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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