先ほども触れたように、慢性期の施設の利用対象は要介護の高齢者です。しかし、だからといって“人間力”の回復が望めない方ばかりではなく、「もっとよくなりたい」「がんばって自立したい」といった意思があり、特に脳卒中後遺症の方や廃用症候群の方で回復できるリハビリを希望している患者さんはたくさんいらっしゃいます。そういう高齢者にとっては、週1回で2単位(20分×2回)程度のリハビリ量では絶対的に足りません。
回復のためのリハビリが必要な方の場合、1日6単位(計120分)が必要で、4単位(計80分)では機能や能力が落ちていくというデータがあります。仮に回復期病院で1日最大9単位(計3時間)のリハビリを毎日行っていた方が、週1回で2単位(計40分)に変更になれば、状態は確実に落ちていきます。1日2単位のリハビリに加え、自主訓練ができればなんとか落ちないように状態をキープできますが、自主訓練が難しい場合はやはり落ちていくのが“原則”といえるのです。
正解のリハビリ、最善の介護