正解のリハビリ、最善の介護

慢性期で本格的なリハビリ訓練を入所で行える施設はあるのか

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 とはいえ1日平均30分ですから、回復期病院で行っている1日最大3時間のリハビリと比べると、かなり短時間です。比較的元気で1日30分では物足りないという方の場合、自主訓練を午前中に1時間、午後に1時間半行ってもらいます。すると、回復期病院と同じ1日3時間のリハビリになりますから、きちんと自主訓練をできる高齢者が老健に入ってリハビリに取り組むと、ぐんぐん状態が良くなっていきますし、そういう方はたくさんいらっしゃいます。

 私が院長を務める「ねりま健育会病院」は攻めのリハビリを実施する回復期病院に加え、慢性期の攻めのリハビリを行う老健施設を持っています。「もっとよくなるためにリハビリをがんばりたい」という要介護の高齢者をより回復させたいという思いもあって、併設を実現させたのです。

 次回も慢性期のリハビリについて、さらに詳しくお話しします。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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