現時点では核酸医薬のほうが現実的であるため、世界中の大手薬品メーカーがこぞってこの分野への参入を始めているところです。
AIDS患者に多いサイトメガロウイルス網膜炎の治療薬であるホミビルセンや、家族性高コレステロール血症の治療薬であるミポメルセンが米国で承認され、臨床で使われています。
日本では、滲出型の加齢黄斑変性症を治療するペガプタニブが承認されています。ただし、こちらはmRNAと結合するのではなく、血管内皮増殖因子と呼ばれるタンパク質を攻撃します。タンパク質と結合する核酸医薬は、アプタマー医薬とも呼ばれています。
また国立がん研究センターが昨年から、乳がん治療用の核酸医薬の臨床試験をスタートさせました。がん細胞の細胞膜にはRPN2と呼ばれるタンパク質があって、抗がん剤から防御する働きを担っています。そこで、核酸医薬でRPN2の生産を阻害し、がん細胞の抗がん剤への抵抗性を弱めてしまおうという作戦です。成功すれば、乳がん治療に新たな武器が加わることになります。
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