明細書が語る日本の医療

男性の肺がん手術 50・60代で受けられる患者は50%以下

手術の80%以上は胸腔鏡手術(C)日刊ゲンダイ

 男性の年齢別新規患者数、手術件数、死亡数を〈表〉にまとめました。

 まず2012年における患者数ですが、20代はわずか37人、30代で280人、40代でようやく1000人を超えます。ちなみに19歳以下は12人、全員15~19歳の少年でした。40代までの患者の多くは、遺伝子の異常などが原因で肺がんを発症したと考えられます。

 患者数は年齢とともに増えていき、50代で5000人を突破します。しかし本格的な肺がん年齢は60歳以上。ピークは70代で、80代に入っても、なお年間2万人以上の新規患者が出ています。たばこや大気汚染など、原因がいろいろと挙げられていますが、肺がんの最大のリスク因子は、実は加齢であることがわかります。

 患者の増加とともに、死亡数も増えていきます。20代ではわずか10人だったのが、80歳以上では2万人以上に達しています。なお2014年の19歳以下(男子)の肺がん死は、1人だけでした。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。