埼玉医大と女子医大は、医療経費を公表していません。大学付属病院は教育施設の一部なので、そこで生じた費用は全学の「教育研究経費」に積算し、トータルの数字を公開する必要があります。しかし医療経費のみを分けて出すかどうかは、各大学の判断というわけです。
公表している5大学の医療経費率には、かなりのバラつきがあります。もっとも高いのは聖マリアンナ医大の45.3%。それだけ医薬品や消耗品に金をかけているのですから、患者にとってはありがたいことです。
日本医大は28.4%と、極端に低い数字を出しています。実は日本医大は15年度に約27億円、14年度に約159億円の赤字を出すなど、最近の経営が芳しくありませんでした。そのため経営改革を実行中で、16年度に5.5億円の黒字化に成功したところです。さらに付属病院を新しく建て替えており、来年1月にグランドオープンの予定です。いよいよ日本医大の本格的な反撃の始まりです。おおいに期待していいでしょう。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。