独白 愉快な“病人”たち

42歳で大腸がん手術 金哲彦さんは大量下血にむしろ感謝

手術のときは「腹筋だけは傷つけないように」と医師に伝えた(C)日刊ゲンダイ

■モニター画面にグロテスクな赤い塊

 診察台に上がったのはもう夕方でした。肛門の辺りに穴があいた紙パンツをはいてね(笑い)。リアルタイムで自分の腸の中を見られるなんてめったにないので、内視鏡のモニター画面を興味深く見ていました。すると、きれいなピンク色だった画面に急にグロテスクな赤い塊が見えたんです。さっき待合室に張ってあった「これが大腸がんだ」という写真にそっくりだったので、思わず「違いますよね?」と言ってしまいました。すると、医師は「大腸がん、間違いないです。すぐ手術した方がいい」と言いました。

 といっても緊急ではないので、その日は何事もなかったかのように家に帰されました。処方箋もなく、手ぶらで……。唯一、医師が出してくれたのは睡眠薬でした。自宅に帰って家族に伝えると、妻は割と冷静でしたが、母親には泣かれ、自分もかなり動揺しました。あの睡眠薬がなかったら眠れなかったでしょうね。

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