独白 愉快な“病人”たち

一色伸幸さん うつ病は「心のかぜ」ではなく「心のがん」

一色伸幸さん(C)日刊ゲンダイ

 想像してみてください。心がまったく動かない退屈な映画を。うつ病の患者にとっては、生きていることが退屈な映画そのものなのです。景色や音楽、ストーリーやセリフに感動も驚きもない。そんな映画を延々と見させられたら、映画館を出て行きたいと思いませんか? それがつまりうつの「希死念慮(死にたい気持ち)」です。決して自殺願望ではなく「その映画館を出たい」だけなんです。

 ボクは2年間寝ていました。その選択は正しかったと思います。脳と心をつなぐ糸を修復する一番の薬は「時間」なんじゃないかな。今でも気分が沈むことはありますが、そんな日は仕事をやめちゃう(笑い)。少し無責任になって休めば治るからです。そうでなくても、夕方4時には仕事を切り上げて近所を走ったりします。心掛けているのは気持ちの切り替え。でも、決め事はなるべくつくりません。気分転換が義務になったら本末転倒ですから。

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