それがゲノム編集技術の登場によって一変したのです。要は抗がん効果の高いポリフェノールを大量に作り出す農作物を、ゲノム編集で作り出せばいいわけです。
でもそんなことをしなくても、サプリメントで十分ではないか。そんな疑問も湧いてきます。ところがポリフェノール類はサプリでは体に吸収されにくく、食物として取るほうがずっと効率的といわれているのです。だから「野菜や果物を、がんやその他の病気に合わせてデザインしてしまえ」という発想になったわけです。それが最新の「デザイナーフーズ」として、世に出ようとしているのです。
法律的にどうかはさておき、ポリフェノール類は野菜の苦味・渋味の成分です。ですからデザイナーフーズが普及するようになれば、我々の食事は今よりも苦い・渋いものになるでしょう。つまり現代版「良薬口に苦し」といった話になりそうなのです。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。