では食事に由来する生活習慣病のリスクに、ゲノムは実際どのくらい関与しているのでしょうか。
この種の研究には、確立された方法があります。双子のデータを集めて解析するのです。一卵性のゲノムはまったく同じですから、同じ家庭(つまり同じ環境)で育っていれば、食事に対する感受性が同じはずです。あるいは片方が養子に出されていれば、異なる環境がどのくらい影響するかが分かります。
また二卵性の双子なら、ゲノムは50%一致しています。同様にして、同じ環境、違う環境において、ゲノムと体質がどのくらい関わっているかを調べることができるのです。
そこでアメリカやヨーロッパで大規模な研究が行われたのですが、期待に反して食事に対する感受性は、ゲノムからさほど影響を受けていないことが分かったのでした。ゲノムの影響は、高く見積もってもせいぜい50%です。では他に何が影響しているのでしょうか。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。