独白 愉快な“病人”たち

一時は絶望のドン底…ノブナガ岩永達彦さん語る機能性難聴

岩永達彦さん(C)日刊ゲンダイ

 その後は筆談ですよ。でも初めは冗談だと思われてしまい、悔しくて泣きましたからね(笑い)。泣いたボクを見て、やっと後輩も焦り出した感じでした。

「病院行きますか?」という文字にうなずいて病院まで付き添ってもらったんですけど、町の小さな医院ではあまり例がなかったのか、先生たちも慌てている様子でした。そして後輩が医者に懇々と叱られていました。後から聞いた話では、「なんでこんなになるまで放っておいたのか」ということだったようです。

「今日も仕事があるのでなんとかしてほしい」とボクの意向を伝えると、「仕事どころじゃありません」とまた後輩が怒られていました。そして次に医者が紙にこう書いてボクに見せてきたんです。

「天下分け目」

 いや、何? その前に病名教えてって感じでしたけど、その医者的には障害者になるかならないかの天下分け目を意味していたようです。

2 / 5 ページ

関連記事