地域の急性期病院では、「長い外来待ち時間」「外来予約がかなり先になってしまう」といった問題が解消され、より専門的な医療が可能になると考えられますが、現実には大きな病院ほど外来患者であふれています。
また、患者ごとに「かかりつけ医は○○クリニック」と決められているわけでもありません。普段、元気で過ごしている若い人は「かかりつけ医はいない」と答える方が多いと思います。日本における「かかりつけ医」というのは、とても曖昧なところがあるのです。イギリスでは、市民は診療所に登録して、診療所から病院に紹介されます。医療費は無料ですが、たとえば60歳以上は人工透析は行わないなど、受けられる医療にかなり縛りがあります。
日本のがん医療においては、がん拠点病院を退院する時に「医療連携手帳」を作り、その後の検査や診療といった専門的な医療のスケジュールが示され、普段の持病も含めて総合的な診療を行う近所のかかりつけ医と情報を共有しての連携体制を整備することにしました。東京都では、5大がん(肺がん・胃がん・肝がん・大腸がん・乳がん)と前立腺がんの連携手帳と、前立腺がんが疑われ、精密検査の結果、がんなしと診断された人を対象としたPSA手帳があります。
がんと向き合い生きていく