血液型と病気

「胃がん」になりやすい血液型は? 実は密接な関係がある

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 さらに日本では、1971年に能見正比古氏の著書「血液型でわかる相性 伸ばす相手、こわす相手」が大ヒットし、血液型性格診断がアッという間に定着してしまいました。そのため、血液型と病気の真面目な研究が完全にタブー視されるようになり、今日に至っています。

 しかし世界的には、今世紀に入ってから状況が大きく変わっています。ヨーロッパを中心に、がん登録データベースなど医療データベースが充実してきたおかげで、コンピューターで簡単に血液型とがんの関係が割り出せるようになってきたのです。

 その代表が2010年に発表された、スウェーデンとデンマークの合同調査です。両国の献血者データベース(血液型が分かる)とがん患者データベース(胃がんにかかった人が分かる)をマッチングさせたところ、A型はO型と比べて1.2倍、胃がんになるリスクが高いことが分かったのです。ちなみにデータ解析の対象になった人数は100万人を超えていたため、この結果には誰からも異議が出ませんでした。

 その後、世界中で同様の研究が行われ、現在ではO型の胃がんリスクを1とすると、A型1.2、AB型1.2、B型1.0で、ほぼコンセンサスが得られています。つまりA型とAB型が胃がんにややかかりやすく、O型とB型は相対的にややかかりにくいというわけです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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