ここで申し上げたいのは、人工透析中の患者でも抗がん剤治療がまったく禁止、できないわけではないということです。投与方法や人工透析を受けるタイミングを計ることで、投与は可能になります。
■抗がん剤投与によって急性腎不全を起こす場合も
ただ、抗がん剤の種類によっては難しい場合もあります。たとえば、胃がんや肺がんをはじめ多くのがんに使われている「シスプラチン」は、投与後に体内から薬物を除去する目的で人工透析を行っても、うまくいきません。シスプラチンが体内に残り、人工透析を受けるタイミングにかかわらず、血中濃度がリバウンドして再上昇することがあります。
このような場合もあるのは確かです。とはいえ、人工透析中の患者ががんになったとき、抗がん剤の治療がすべて無理だということではありません。
がんと向き合い生きていく