認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

睡眠不足はアルツハイマー病の原因物質を脳に蓄積させる

認知症予防には質の良い睡眠を

 睡眠は、眠るための時間の確保も大切なら、質を向上させる工夫も必要。枕元にスマートフォンを置き、眠る直前までメール、インスタグラム、フェイスブック、ツイッターなどのチェックをしていませんか? 自律神経のうち、活動時に働く交感神経が優位になり、眠りの質が低下します。

 休日だからと寝だめはせず、大体同じような時間に起き、太陽光線をなるべく浴び、体を動かし、バランスの取れた食事を取る。睡眠の質を高める方法としてよく言われていることですが、できていない人が多い。今の習慣の何を変えればいいのか、改めて見直してみてはいかがでしょうか?

 私の提案は、夜は一定のルーティンをつくること。入浴して温まった体が冷め始める頃に睡魔が来るので、睡眠前の適温での入浴はおすすめです。また、軽いストレッチをしてから寝るのもいい。そして寝床に入ったら好きなことや楽しいことを考える、などなど。

 脳がそれを覚えて学習し、脳も体も「眠りスイッチ」へと切り替わりやすくなります。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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