がんと向き合い生きていく

医師の原点“慈しみ”の対極にあるのが“怨み”なのだろうか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■怨みをすててこそ息む

 帰宅すると、テレビのニュースでは、戦争で小児病院が爆撃されたと報じていました。建物の残骸が映っています。道端に倒れた人をぼかして分からないようにしています。「兵士だけでなく、住民を撃った」「学校に爆撃した」……。犠牲者の数の報道は毎日続いています。生まれて数カ月の子も犠牲になっています。

 しかし人間は、どうしてこんな無謀な、無残なことを繰り返すのだろうか? と思います。いつまで戦争を続けるのでしょう? たくさんの命が奪われて、それでも続いています。

 われわれは77年前の原爆投下で、もう、戦争はできる時代ではなくなったと思って過ごしてきたように思います。どんな怨みがあっても、人を殺す戦争はすべきではありません。一日でも早く戦争をなくして欲しいと思います。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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