私は、その書を見て勇気をいただいたこともありましたが、ある時は「毎日が憂えてばかり」と思うこともありました。患者の病状が回復した時はよいのですが、厳しい状態が続くこともあるわけです。そんな時は情けないことに、私は毎日憂えていると思ってしまうのです。それで、この額を押し入れにしまい込んだこともありました。
M院長は10年ほど前に亡くなられましたが、消化器病学の大家でした。最近、M院長の人間愛を思いながらこの達筆な書を見て、「一芸に秀でるものは、多芸に通じる」という言葉が頭に浮かぶのです。
がんと向き合い生きていく