脳腸相関(脳と腸がお互いに密接に影響を及ぼし合っていること)が近年注目されていますが、肥満症で腸内細菌叢の異常や消化管粘膜のバリアー機能不全があると、炎症性サイトカインや毒素といった炎症を引き起こす物質が血液内に混入。全身臓器に炎症を引き起こすばかりか、それらが脳内にも侵入し、海馬、視床下部、大脳皮質に炎症が起こり、認知機能低下を招くともいわれています。
現在、肥満症の人は、認知症対策のためにも体重減は必須。食事療法や運動療法だけで痩せられない場合の最後の手段としては、薬を使うという手もあります。今年1月には、肥満治療薬が承認され、約30年ぶりの新薬として発売になります。
肥満症の診断基準はすでに述べた通りですが、この新薬が保険適用となるのはまた条件が異なり、「BMI27以上で、11種の健康障害に2つ以上該当」または「BMI35以上」であり、さらに高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のどれかに該当し、食事療法・運動療法で十分な効果を得られない場合、になります。
第一人者が教える 認知症のすべて