第一人者が教える 認知症のすべて

オリーブオイルが豊富な地中海食で脳の前頭葉機能が改善

さまざまなものをバランスよく(C)日刊ゲンダイ
おかず多めの賑やかな食卓が認知機能低下を防ぐ

 海外の食事習慣を日常的に取り入れるのはなかなか難しい。日本人が馴染みのある食事ではどうなのか? 福岡県糟屋郡久山町で食事調査を受けた認知症のない60~79歳の住民1006人を17年間追跡した成績(久山町研究)を用いて、認知症との関係を九州大学の先生らが調べました。

 すると、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、淡色野菜、藻類、牛乳・乳製品の摂取量が多く、米の摂取量が少ないという食事パターンが抽出され、果物・果物ジュース、芋類、魚の摂取量が多く、酒の摂取量が少ないとの傾向も見られました。

 この食事パターンをスコア化し追跡調査で食事パターンスコアと認知症発症との関係を検討。結果、この食事パターンの傾向が強い群ほど、すべての認知症の発症リスクが有意に低下しました。

「大豆や野菜などの摂取量が多く、酒の摂取量が少ない」というのは納得できるとして、「米の摂取量が少ない」ことに疑問を抱いた人もいるかもしれませんね。米は日本人にとって外せない主食ですから。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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