第一人者が教える 認知症のすべて

認知症患者の「夜、寝ない」問題…介護する家族にアドバイスしていること

朝の体操などの運動も

・昼間うとうと居眠りをしている。特に多いのは、テレビを見ているうちに眠ってしまい、気が付いたら日が暮れているという状況
・ほぼ外に出かけずテレビの前に座りっぱなし

 私がアドバイスしたのは、まず朝、ラジオ体操でも庭の花への水やりでもいいので、外に出て太陽の光を存分に浴びてもらうこと。ベッドから出るのが難しければ、ベッドをできる限り窓の近くに設置し、朝はカーテンを開けて、太陽の光が部屋に注ぎ込むようにすること。朝の太陽の光は、体内時計を調整し、眠気を催す脳内ホルモン(メラトニン)と拮抗関係のセロトニンの分泌を高めます。日中のセロトニンの分泌量が多いほど、夜のメラトニンの分泌量が増えます。

 次に、昼間の活動量を増やすこと。一緒に散歩に行く、「お義父さん、買い物に付き合ってくれませんか」と誘い出す、などなど。活動量が少なければ、疲労感もないから、夜眠くなりにくい。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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