第一人者が教える 認知症のすべて

認知症患者の「夜、寝ない」問題…介護する家族にアドバイスしていること

朝の体操などの運動も

 さらに、昼食後、30分から1時間ほどの昼寝を取ってもらうこと。長時間の昼寝はNGですが、高齢者はセロトニンやメラトニンの分泌量が少ないために昼、夜の境目がつきづらく、夕方くらいに昼寝をし、そのまま長く寝てしまい、夜中に目が覚める。昼食後の軽い昼寝で、夕方の長い昼寝を避けます。

 次の診察時、お嫁さんは「お義父さんが、夜に起きることが減りました。起床時間は朝5時過ぎと早いんですが、それまでは寝てくれるようになりました」とうれしそうに報告してくれました。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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