元国立がん研究センターの医師は重度の糖尿病を食事・運動・計測で治した

自分の血糖値をたえずモニタリング

■HbA1cは9カ月で12.8%から5.9%に

 こうした努力の甲斐あって1~2カ月後には早朝空腹時血糖値は110㎎/デシリットルまで下がり、3カ月後にはHbA1cは9.6%まで下がったのです。

 それから次の3カ月後には7.8%に、さらに次の3カ月目には5.9%となって「食事と運動」による糖尿病治療を始めて9カ月目にしてついに6%を切ることができました。糖尿病の合併症の発症リスクは9%から急に高まること、6%台ではそのリスクはほとんどないことを考えると、私は9カ月で糖尿病を克服したということになるのです。

 体重も1年間で13キロの減量となり、高血圧症、高脂血症、脂肪肝も吹き飛びました。 

 むろん、これは今から30年近く前の経験です。その後、さまざまな研究結果が出て、糖尿病を治すためにより効率的な方法や器具が出てきているでしょう。当時の私のやり方とは異なる部分もあるとは思います。しかし、自分の血糖値をたえずモニタリングしながら、食事や運動で血糖コントロールを行う。そうすれば糖尿病によっては良くなるし、寛解することも可能です。糖尿病克服のカギは、ようは患者さんがやる気をもって、科学的に糖尿病と対峙することだろうと思います。一病息災の生き方です。

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