上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

血圧は測る姿勢で数値が変化…2つのパターンを把握して突然死を防ぐ

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 しかし、米ハーバード大学の研究者が米国心臓協会の高血圧科学セッションで報告した研究では、座位(座った状態)での測定で高血圧と判定された人の74%が仰臥位(あおむけで寝た状態)での測定でも高血圧に該当し、座位では高血圧に該当しなかった人の16%が仰臥位では高血圧に該当していたといいます。つまり、「座っているときは正常でも、寝ているときは高血圧」という人が一定数いることがわかったのです。

 さらに、座位と仰臥位の両方で高血圧だったグループは、該当しなかったグループに比べて冠動脈疾患の発症リスクが1.6倍高く、冠動脈疾患による死亡リスクも2.18倍高いという結果でした。また、座位では高血圧に該当しなくても仰臥位では高血圧と判定されたグループも、同様にリスクが高いことがわかりました。

 研究者は「心臓病などのリスク因子を有する場合、座位だけでなく仰臥位でも血圧を測定してリスクを評価することが将来的なメリットにつながる可能性があることを示唆している」と述べています。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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