第一人者が教える 認知症のすべて

片付けで実家へ…「処分しよう」「捨てないで!」の親子ゲンカに

自分の意見を押し付けないことが大事(C)日刊ゲンダイ
脳活性化のポイントは「楽しく行う」

「片付けが脳の活性化につながる」という話を、前回紹介しました。脳は無数の神経細胞が集積しており、片付けによってそれらが刺激されるから。脳を活性化させるために、ぜひ「楽しい」片付けを親御さんと一緒に、そしてご自身でも、日々取り入れてほしいですね。

 この時のポイントは「楽しい」です。ストレスを感じる片付けは脳にとってマイナスになります。何が大事かは人によって異なりますから、親御さんの片付けを手伝うときは、自分の意見を押し付けないことです。

 また、普段から部屋がきっちり片付いている人は別にして、散らかりがちな人は、片付けが得意な方ではないのでしょう。一気に全てを片付けようとすると、「楽しい」から遠く離れたものになってしまいます。

「片付けを母親と一緒にしたら、料理も一緒にするようになった」とは、大阪在住の会社員女性(53歳)。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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