第一人者が教える 認知症のすべて

片付けで実家へ…「処分しよう」「捨てないで!」の親子ゲンカに

自分の意見を押し付けないことが大事(C)日刊ゲンダイ

 昔ながらのつくりのキッチンで、高い位置に戸棚があり、そこにしまった鍋や器は、力の衰えた母親にとって出し入れできなくなっていた。母親と話し合い、普段よく使う調理器具は全て下の戸棚に。同居家族が多かったときに使っていた大鍋やお菓子作りの道具は女性が譲り受けるか、母親に代わってフリーマーケットサービスのメルカリに出品するか、にしました。

 するとキッチンがスッキリして使いやすくなった。せっかくだからお母さんアノ料理教えてよ、と母親の得意料理で女性の好物のメニューをいくつか挙げたら、母親は「面倒だ」と言いつつうれしそう。女性もうれしくなって、月1~2回、実家に帰り、母親の料理レッスンを受けるように。すでに作り方を知っている料理ももちろんあるけれど、意外なコツがもたらされたりして、勉強になるそうです。

■記憶力も必要

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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