独白 愉快な“病人”たち

伊奈かっぺいさんは脳梗塞で「病気ネタがたくさんできた」

伊奈かっぺいさん(C)日刊ゲンダイ

 その生テレビを終えたところで、ディレクターが「大丈夫?」と声をかけてきたのです。どうやら真っすぐ歩けておらず、しゃべり方もいつもとちょっと違うというのです。自分は昨夜の酒のせいだろうと思っていたので「そう?」と軽く返事をしたんですけど、「そばに病院があるから、一応調べてもらったら? なんでもなければそれでいいんだから、行くだけ行きましょう」と半ば強引に病院に連れていかれて……。そこで「脳梗塞」と告げられたのです。

 診断が終わるや否やストレッチャーに寝かされまして、もうそのまま入院です。すると、子供みたいな若い看護婦さん(あえて私は昔風にこう呼びたい)がボクの顔をのぞき込んで、まるで幼稚園児に言うみたいに「お名前は?」と尋ねてきたんです。

 病気が病気だけにそういう言い方になるのもわかるのですが、バカにされている気がして、ムッとなって黙ってしまった。すると、さらにゆっくり「お名前は?」と聞くので、「どっちの名前がいいですか? 本名ですか? 芸名ですか?」と切り返して、頭が健在なことをアピールしました。

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