そんな時に承認されたのが冒頭で触れた治療の新たな選択肢。WATCHMAN(「ウォッチマン」)というデバイスを用いた左心耳閉鎖治療だ。
■出血リスクが高い薬をやめられる
心臓の4つの部屋のひとつ、左心房から耳たぶ状に突出する「左心耳」は血栓ができやすい部分。心房細動による脳梗塞の9割は左心耳の血栓が原因といわれている。左心耳閉鎖治療は、「ウォッチマン」を左心耳の入り口に留置し、血栓をできにくくする。先端に「ウォッチマン」をつけたカテーテル(細い管の医療器具)を脚の付け根の小さな切開口から入れ、心臓の左心耳に到達したら、「ウォッチマン」を膨らませる。
手術後には「ウォッチマン」を覆うように内皮化が進み、やがて体の一部のようになる。カテーテルの治療なので、メスで胸を開くことなく、体への負担は少ない。