進化する糖尿病治療法

糖尿病の治療薬そのものが認知症対策に役立つ可能性あり

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 さらに、検査に影響を与える可能性のある要因を調整すると、DPP-4阻害薬を服用していた患者は、認知機能の低下が年間0.77ポイント遅くなるとの結果でした。

 また、アルツハイマー型認知症の原因になる物質「アミロイドβ」がDPP-4阻害薬を服用していた患者では少なかったことも、この研究で明らかになりました。

 研究者は、今後、より精度の高いランダム化比較試験が必要としながらも、「糖尿病患者の高血糖状態が続くと、脳内のアミロイドβの蓄積によって、アルツハイマー型認知症のリスクが高くなると考えられる」「研究では、アミロイドβが少ないだけでなく、アルツハイマー型認知症に関連する脳の領域でも低いレベルが示された」とコメントしています。

 糖尿病と認知症の関連については、メトホルミンという薬も認知症対策に有効なのではないかと期待されています。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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