そのひとつは3番染色体に載っている遺伝子でした。人の染色体は23対(46本)です。その3対目の染色体に載っている遺伝子が、重症化と関係していることが判明したのです。ただし、それがどんな働きをする遺伝子かは、いまのところ不明です。
もうひとつの遺伝子は、なんと血液型遺伝子、つまりA・B・O・ABの血液型を決める遺伝子でした。そこで血液型と重症化の程度を調べたところ、イタリアでもスペインでも、A型が重症化のリスクが高く、O型は低いことが分かった、という次第です。A型患者は、他の血液型と比べて重症化リスクが約45%も高く、一方O型は約35%も低かったというのです。
すぐには信じられないような結果ですが、その前の2020年3月には、中国の研究者たちが、世界で初めて新型コロナと血液型の関係について論文を発表していました。また4月には、アメリカの遺伝子検査会社である23andMeからも、同様の研究が発表されていました。どちらの研究でも、A型がハイリスク、O型がローリスクという結果でした。
ですから、NEJMの論文よりも前から新型コロナと血液型との関係が指摘されていたわけです。それが世界的権威の医学雑誌が取り上げたという点で、マスコミからも大いに注目を集めたのでした。
血液型と病気