血液型と病気

新大陸の血液型は「天然痘」で決まった インド研究で明らかに

 新大陸の住民にO型が多いのは、天然痘の大流行の結果だと考えてよさそうです。もちろんO型でも、かかって死ぬ人は大勢いたはずです。しかし10人中9人が亡くなるという大惨事の中、感染リスクや死亡リスクがこれだけ違っていれば、A型やAB型の人が生き残るチャンスはかなり低かったことが容易に想像できます。また、B型は天然痘に対して生存確率が高かったのですが、一緒に入ってきたマラリアによって、その後は淘汰(とうた)を受け続けたはずです。結果的に、O型がもっとも生き残る可能性が大きく、そのまま今日に至っているということでしょう。

 このインドの研究を受けて、アイスランドの血液型に関する仮説も提案されています。アイスランドの住民の祖先は、主にノルウェーなど北欧から渡ってきた人々です。北欧ではA型が4割以上を占めているので、当然アイスランドでも同じような割合になるはずです。ところが実際にはO型が6割近くを占めており、A型は3割にとどまっています。

 その原因が天然痘だというのです。アイスランドには教会の記録が古くから残っていて、1240年から1839年までに21回の天然痘の流行があったことが分かっていますし、毎回の死亡率も記録されています。そのデータをもとに解析すると、いまの血液型の割合がうまく説明できるそうです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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