学会ではS君の研究発表があり、司会の座長が「この研究の発表の意図は?」と尋ねたといいます。S君は「先輩に発表するように言われたから発表しました」と答え、T先輩はとても慌てたそうです。それでも、憎まれない、憎めない性格なのです。
ある日曜日、病院の職員住宅に、S君の田舎が出身のお相撲さんがやって来ました。体の大きな、幕内の有名な力士でした。子供たちは、お相撲さんに抱っこされたり、まとわりついて、とてもはしゃいでいました。みんなが喜んでいるところを見て、S君はだれよりも喜んでいたように思います。
いつも優しくほほ笑んでいたS君。がん制圧を夢見た仲間でした。
S君、ご苦労さまでした。ありがとう。合掌。
がんと向き合い生きていく