その後、「とりあえず水を飲んでください」と差し出されたコップを倒してしまい、スタッフがイベント主催の社長に電話して、私の様子とともに救急車を呼んでいいかを確認していました。
「以前、こういう状態の人を見たことがある」という彼の話から、ついに救急車が呼ばれてしまい、内心「なんでもないのに救急車なんて呼びやがって」と思いました。でも、今思えば彼のおかげで後遺症なく脳梗塞を乗り越えられたことは確かです。
じつはその日は朝からいくつかの違和感がありました。まず、家を出るときに右足の靴が履きにくかったこと。さらに鍵穴に鍵がなかなか入らなかったこと、電車の座席の背もたれに硬い芯があるような感覚があったこと、手すりをうまくつかめなかったことなどなどです。「今日は変な日だな」と思ってはいましたが、まさか脳梗塞だとは考えもしませんでした。
独白 愉快な“病人”たち