独白 愉快な“病人”たち

映画監督の河村光彦さん「脳梗塞」で救急搬送の一部始終を振り返る

河村光彦さん(C)日刊ゲンダイ
4月13日は私にとって運の悪い日

 でも、よりによって上映初日にそんなことになるとは「神様どうなってんの?」と思いましたよ。思えば4月13日は私にとって運の悪い日なんです。20歳で大失恋をしたのも4月13日でした。彼女が「運転のできる人がいい」というので合宿して免許を取ったのに、「もう会いたくない」って……。あまりのショックに「これでもまだ君は彼女が好きか?」という8ミリ映画を作りました。

 ただ、それを見た映画好きの先輩から声がかかって、黒沢映画「乱」のメーキング取材班として参加することができたのです。もちろんノーギャラ。でも、私は黒沢監督に憧れていたのでうれしくてうれしくて、夢のような1年間を過ごしました。

 その150時間にも及ぶビデオテープは大人たちに取り上げられ、紆余曲折あって何十年後かにやっと取り戻したんです。ただ画質が悪く、作品にするならデジタル化が必須。なのに予算のない私は「いつかきっと」と思いながらずっと押し入れで眠らせていました。

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