遺伝子ドライブは、実験室レベルではすでに成功しています。また蚊以外の動植物でも可能です。有益な遺伝子を農作物に組み込んで、短期間に地域全体、国全体に広めるといったプロジェクトや、外来生物の駆除に使おうという計画も、各国で現実味を持って話し合われています。
ただ、遺伝子ドライブは一度始めてしまえば、中止するのはほとんど不可能です。「環境や人間にどのような影響を与えるか」といったことは、まったく予想できません。また使い方を間違えれば、核兵器を超える脅威になる可能性すらあります。
とくに、世界中のバイオハッカーたちの動向が気がかりです。彼らが遊びでつくった改良生物が逃げ出し、われわれの生活を脅かすことはあり得る話です。しかし全員の動向を監視し、規制をかけるのは、ほとんど不可能です。
遺伝病もがんもゲノム編集で治せる時代が近づいてきた
- 2018年08月16日
永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。