独白 愉快な“病人”たち

岸あさこさん 世界でもまれな乳がんで「終わった」と思った

岸あさこさん(C)日刊ゲンダイ

■料理教室の先生の笑顔が「希望」に見えた

 そんなときに出会ったのが、とある料理教室の先生でした。知人が教えてくれた料理教室で、聞けば先生も乳がんで乳房を全摘出して抗がん剤治療を行い、その時はホルモン治療中という状態でした。つらいはずなのに、その先生はとても元気で明るくて、笑顔が太陽のようでした。まさに「希望」に見えました。

 さらに、その料理教室には乳がんの手術によって包丁が握りにくくなったりした人のための「乳がん患者専門クラス」があり、乳がんのつらさや悩みを分かち合える仲間と出会えたのです。それが今の仕事につながりました。

 初めはSNSで乳がん患者の会員制の交流サイトを立ち上げ、情報を共有し合う場をつくりました。そのうちに乳がんの手術前に鏡などを使って胸を自撮りしている人が多いとわかったのです。「プロのカメラマンに美しく撮ってもらいたい」という声を聞いて、「それなら」と東京に小さなスタジオを設けました。資金はクラウドファンディングで集め、2019年10月にスタートしました。

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