柳沢先生!教えて!睡眠で知りたいこと全部聞いた(後編)「寝酒をするくらいなら睡眠薬を」

柳沢正史氏(C)日刊ゲンダイ

 ──オレキシンは柳沢さんが発見した物質ですよね? どんな物質で、それを抑制する睡眠薬はどうなのでしょうか?

 私が発見したオレキシンとは安定した覚醒を続けるために必要な脳内物質です。その働きを抑えるオレキシン受容体拮抗薬が開発された。それが新しいタイプの睡眠薬です。ベルソムラ(メルク)、デエビゴ(エーザイ)などの商品名で処方されていますが、これらの薬の良いところは依存性、耐性がない点です。反跳不眠もありません。いい意味で卒業できる睡眠薬です。必要な時だけ飲む頓服利用が可能で、飲まないでも大丈夫となれば、量を減らして卒業できる。そこが良いところなんですね。

 ──だとすると、GABAの働きを強めるハルシオンやマイスリーなどよりオレキシン拮抗薬の方が体に良さそうですね?

 はっきり言って、オレキシン受容体拮抗薬の方が良いです。ただ、長くマイスリーを飲んでいる方が、いきなりぱっと切り替えると反跳不眠が起きることが多いんですよ。非常にゆっくりマイスリーの量を減らしていかないといけない。

2 / 11 ページ

関連記事